2015年2月6日金曜日

日本が抱えている領土問題

日本が抱えている領土問題は、尖閣諸島、竹島、北方領土とそのどれもが袋小路に入り込んで、現段階では解決の道筋が見えてこない。主権が絡む領土交渉とは、それほど困難なものなのだ。しかし、領土主権が確保されないからといって、力ずくで領土を取り返したり、国家関係を断絶したりすることはできない。そこで、国連海洋法条約の批准にともなう経済水域の設定など、漁業問題のような実務関係は、領土問題から切り離して解決を図ることになった。

これによって、九八年九月にまず、難航していた新しい日韓漁業協定をめぐる交渉が基本合意に達し、両国が領有権を主張している竹島周辺は、暫定水域を設けて、共同で資源管理を行うことが決まった。これに続いて、同年十二月に北方四島水域の操業枠組みを決める日口交渉が実質妥協をみて、以後、日本漁船の安全操業が確保されることになった。九七年十一月の署名から二年以上に及ぶ日中新漁業協定をめぐるマラソン交渉は、二〇〇〇年二月に妥結、六月一日から発効することが決まった。

イワシやサバの好漁場とされる東シナ海に、新しい漁業の枠組みができ、中国漁船の操業を日本の管理下に置くことで、資源管理体制の基盤の確立に道を開いた。領土絡みの実務関係で残る最大の問題は、何といっても豊富な石油資源が埋蔵されている尖閣諸島周辺海域の海底油田開発である。日中双方が強硬に主張する領有権問題は、簡単には決着がつかない。将来、領有権問題は棚上げにして、日中共同開発の方向で平和的な話し合いによって、現実的な解決を図る以外に、この問題の解決の方法はないだろう。