2014年7月17日木曜日

米国の戦略目的と米軍の役割

それにもかかわらず、現在から二〇一五年までの予想される世界は危険で、きわめて不確実であり、米国の同盟国と友好国に対する国境を越えた大規模侵略の可能性がなお残っているとし、そのもっとも懸念される地域として中東と朝鮮半島を挙げている。次に情報と高度技術の拡散によって、ある国やテロリストーグループが強力な軍事力を持つ可能性が増大してきた。

特にNBC兵器とその運搬手段、インフォメーションーウォーフェア、高性能通常兵器、ステルス能力、無人機、宇宙の利用、また宇宙空間で相手国の利用を妨げる能力が拡散しつつある現状を懸念、東アジアにおいてぱ、このような拡散が領土問題を抱えている地域内での微妙な軍事づフンスを崩す危険性が指摘されている。

さらに懸念要素として、テロ行為の激化、麻薬取引、国際犯罪組織、大量不法移民などを挙げ、通常型軍事力の分野で米国が圧倒的優位を占めるがゆえに、敵対勢力はテロや、NBC攻撃、インフオメーションーウオーフェア、環境破壊などの「非対称的手段」によって目標を達成しようとする危険性が出てきたとする。

今後十五~二十年間において、米国は世界唯一の超大国(スーパーパワー)としての地位を確保し続けるであろうし、通常戦力において米国に敵対できるような地域勢力や地域連合勢力が台頭する可能性は考えにくいものの、新しい技術による脅威や米国にとって重要な地域・施設へのアクセスが失われるといった「予想を超えた(ワイルドーカード)シナリオ」が発生する可能性もあるため、米国はそのような事態にも対応できるような軍事的能力を維持せねばならないとした。

そして、このような安全保障環境とは次の二つの仮定に立脚しているとする。まず今後の十五~二十年間において米国は政治的、および軍事的に世界に関与していくであろうし、現在の、および潜在的なライバルに対しての軍事的優越性を維持し続けるという仮定である。そして、もし米国が世界への関与をやめ、外交的主導権を放棄するか軍事的優越性の維持を放棄するなら、世界は現在よりも危険で、米国とその同盟国、友好国、およびそれらの利権に対する脅威は、もっと厳しいものになるだろうという仮定である。