2012年7月2日月曜日

いま世界ではこんな機体が飛んでいる

かつてのエアラインは、サービスだけでなく使用機種でも競争をしていた。パンナムはボーイング707、ノースウエストはダグラスDC-8、BOAC(英国海外航空)はコメット、エールフランスはカラペル、旧ソ連のアエロフロートはイリューシン62など自国の最先端の機種をしたがえ、世界の空で戦っていた。航空産業とは本来、航空機の開発と運航するエアラインの、ハードとソフトの総合的な戦いなのだ。

ところが、ジェット旅客機の開発規模がケタ違いに大きくなっていったことから、巨額な資金(エアバスA300は二五〇〇億円、コンコルド九二三〇億円など)と販売力が不可欠になった。

せっかく新しい機材が開発できても、販売数が一〇〇機を下回ると開発コストを回収できず、巨額の赤字が残ってしまう。ジェット旅客機の開発はリスキーなビジネスになってしまったのだ。

旅客機市場からは、英国のデーハビランド、BAC、ビッカース、フランスのシュド、米国のコンベア、ロッキード、ロシアのツポレフなど、老舗のメーカーが次々と脱落し、淘汰されてしまった。

そして、かつては数々の名機を開発し、ボーイングと競ってきたダグラスも最終的にボーイングに吸収されるに及んで、世界の大型旅客機(一〇〇席以占メーカーは、米国のボーイングと欧州連合(EU)のエアバスーインダストリーの二社になってしまった。

この二社は、大型旅客機の分野で、短距離路線用から長距離路線用、一〇〇席クラスから三〇〇席以上まで、それぞれの需要にあわせた機種をそろえている。

また、ジェットエンジンは専門メーカーが開発しており、大型旅客機用のメーカーとしては、米国のプラット・アンド・ホイットニー(P&W)、ゼネラルエレクトリック(G且、英国のロールスロイス(RR)、フランスのスネクマがGEと共同開発したCFM、日本を含む五力国の共同開発によるIAE(インターナショナルーエアローエッジッズ)などが主要なところだ。エンジンメーカーは主要な機種に使えるエンジンを開発して用意するので、エアラインは性能や整備の都合を考えてエンジンを発註する。

日本人はとにかくジャンボ機が好きだ。大きくて安定感を感じるのかもしれないが、ジャンボ機のマイナス面もある。搭乗する乗客が四〇〇―五〇〇人と多いことから、搭乗や降機に時間がかかるし、エコノミークラスの座席は横一〇列と乗客数が多いので、窓側は横三列になり、間にはさまれる真ん中の席は最悪だ。かえって、横七列で構成されているB767クラスの方が楽である。

ここでは現在世界の空を飛んでいる機体の中から、日本関係の路線に就航している機種を中心に紹介しよう(機内の座席配置、トイレの数、内装などは、ユーザーであるエアラインの方針や就航路線の特性によって決められる)。