2012年7月2日月曜日

世界の情勢に逆行している日本

日本の国内線では幹線にジャンボ機、準幹線に二〇〇-三〇〇席クラスのB767、ローカル線に一五〇席クラスのB737やMD-81が飛んでいるが、ジャンボ機が国内線で頻繁に使われている国など、他にはない。

航空大国の米国でさえ、国内線にジャンボ機は飛んでいない。ジャンボの短距離型B747SRは日本用に開発された機体であり、世界最大のジャンボ機のユーザーは、日本航空(一〇〇機以上を購入)なのだ。

乗客が増えると、日本では機材を大型化するのだが、欧米では運航便数を増やして頻度を高めるのが常識だ。便数を増やせば便利になって乗客はさらに増えるからだ。

一日一往復しか飛んでいない路線に朝夕二便が運航されれば、日帰りで旅行ができる。一日五便ともなれば、飛行機のスケジュールから受ける制約は小さくなって自分の都合でフライトを選ぶことができる。

ところが日本では、東京や大阪圏の空港容量が満杯のため、機材の大型化で吸収しようとする。これは平均旅客数からも浮き彫りになる。羽田空港を発着する飛行機の旅客数は一便あたり二三四人だが、ロンドンのヒースロー空港は一〇三人、ニューヨークのケネディ空港では何と五九人しか乗っていない(九六年実績)。

鉄道を含めて国内で最大の旅客がある東京-大阪(伊丹・関西空港発着を含め)間でも、航空便は一日三四往復なので平均二七分に一便、もっとも便数の多い東京-札幌線(世界でも最大の航空旅客数)でも運航便数は一日(六時から二一時まで)四五便なので、平均二〇分に一本の割合だ。羽田を九時以降の出発で午前中に千歳に到着できる便は、五本しかない。

ところがニューヨーク-ワシントン間(複数空港を使用)は六時から二二時三〇分まで一五〇便なので七分弱に一本、ダラスーヒューストン間は一一五便(三一時まで)なので八分に一本の割合で出発している。

エアラインを選ばなければ、時刻表など見なくても大丈夫だ。だが、機材は一五〇-ニ○○席のB737、B757が中心で、客数の少ない時間帯には四八席のアエロスパシアルATR機や三〇席のジェットストリームも運航されている。

とにかくフライトの頻度を高くし、乗客を待たせない。これは欧州でも同様で、ドイツの幹線であるフランクフルトーミュンヘンでは二I○席のA340から八〇席のアブロRJ85までを使い分け、一日一三便が飛んでいる。

ところが日本の場合、幹線では二三〇席クラスの機材に満たない時間帯はフライトを運航しないため、空白の時間帯ができてしまう。さらに、ローカル路線でも一五〇席クラスのB737やエアバスA320で採算に乗らない路線は運航しない。

そこで、そんな大手の硬直的な態勢の間隙をついて、さらに小型の機種で採算に乗せようというエアラインが登場してきた。