2012年7月2日月曜日

ボーイング717

マクダネル・ダグラス社がMD-80シリーズ最小の100席クラスとして開発し、経済性とエンジンの静粛性を売り物にしている機種。ボーイングがMD社を吸収したことにより生き残った最後のダグラス機。海外では売れ行きはよいが、日本のエアラインは未発注。

ダグラスは1970年代まではボーイングと対抗していた名門旅客機メーカーのダグラスだったが、ボーイングの商品企画力、販売力に敗れた。かつてはユナイテッド、デルタ、イースタン、日航、SAS、KLMなどがダグラス社の上得意だった。

軍用機メーカーのマクダネル社に吸収されてマクダネルーダグラスとなっても凋落はとまらず、97年にボーイングに吸収された。ボーイングはダグラス部門の立て直しを理由に、重複する機種の生産を次々と打ち切ったため、残っだのは100席クラスのMDI95(ボーイング名でB717)だけと
なったが、世界の空ではまだ数多くのダグラス機が飛んでいる。

300席クラスの中・長距離機DC-10

もともとは米国の大陸横断線用に開発されたアメリカ版エアバス機。主翼に二基、水平尾翼に一基の三エンジンが特徴。四発機よりも経済的で、長距離飛行にも耐えられる。初飛行は70年の300席クラスの広胴機。海外の航空会社の要望に応えて燃料タンクを増設し、航続距離を8300-9700キロまで延ばした130と140がある。日本ではJALグループがアジアや太平洋リゾート路線でまだ使用している。

DC-10の改良型MD-11

DC-10の胴体を六メートル伸ばして収容人数を50人増やし、電子技術をふんだんに取り込んで二名のパイロットで操縦可能にしたことによって経済的なハイテク機体になったのがMDI-11。

燃料タンクを増設し、ウイングレットを付けるなど主翼を設計し直して空気の抵抗を少なくするなどの改良を加えたことで、航続距離は1万1500キロに伸びた。日航や欧米のエアラインが長距離便に使用しているが生産は終了。

経済性と低い騒音が特徴のMD-80/90

細い胴体に短い主翼と胴体後部にまとめられた双発エンジンが特徴。もとは短距離線用ベストセラー機になったDC-9を発展させた機体だ。DC-9は地上の支援態勢が不十分なローカル空港でも「整備、操縦に手間がかからずタフに飛び回れる」ことを開発テーマにしたことが、エアラインに支持された。

胴体はボーイング737よりもひと回り細いのだが、座席を一列少ない五列配置にしかことにより、乗客当たりの左右のスペースは広い。乗客の定員が80名の10から、172名の183までさまざまな発展型がつくられたのは、機体がシンプルで汎用性があったからだ。

ダグラスがマクダネルに吸収され、機種名もMDシリーズに変更になったが、87と88、90は経済性と騒音の小ささが魅力だ。日本ではJASがローカル線に使用。

大型旅客機の納入シェアで33%の実績(99年)を上げるまでに成長したエアバス・インダストリーは、仏、独、英、スペインの大手航空機メーカーにより構成される共同事業体。取り決めにもとづき、製造は参加企業に割り当てられる形で進められてきたが、2001年に各社の出資による株式会社に移行す。

「欧州主要都市を行き来し、バスのように手軽に200人乗りの大型輸送機」というコンセプトでスタートした。基本構想のA300は七二年に初飛行し、当初は註文の少なさにあえいでいたが、石油危機などによって双発機A300の経済性が評価されて注文が集まるようになり、短距離路線や長距離路線用の派生機種を開発して超大型機以外の分野でボーイングに対抗できるラインアップをそろえるまでになった。受注総数4223機、納入機数2544機(2001年2月末)。