2012年7月2日月曜日

ボーイング

ボーイング社は、米国初のジェット旅客機のボーイング(B)707が営業的に成功を収め、今日の繁栄の基礎を築いた。短距離路線用一〇〇席クラスのB717から727、737、757、767、777、そして長距離路線用超大型機のB747で、コミューター航空を除く航空路線に対応できる品揃えになっており、世界の大型旅客機のシェアの六七%(九九年の納入実績)を占める。

ボーイングファミリーの特徴は、経済性、汎用性に優れていて使いやすいことだが、後部に三基のエンジンをまとめた727を除いて機材にとりたてて個性がない。各機種とも派生型が多く開発されている。

短距離路線用ボーイング737

生産機数三五〇〇機を誇るベストセラー機。一〇三席の基本型-(ダッシュ)100の初飛行が一九六七年でありながら、いまでも派生機種の開発、納入が続いている。B707の胴体の前部をスパッと切り取った形の広い胴体に、エンジンニ基、パイロット二名の簡素化した設計が成功した。割安な機体価格に高い経済性で、エアラインに人気がある。日本でもローカル線の主力機となっている。

現在の生産はエンジンを替えて性能と静粛さの向上、操縦席の電子化を図って中身を一新した1400(一五六席、航続距離五三七〇キロ)、500(こ一六席、二七八〇キロ)、操縦室に最新の電子航空技術のフライ・バイ・ワイヤ方式(油圧などの圧力をケーブルを通して操縦を行うのでなく、操縦装置の動きを電気信号に変えてモーターを動かし、ワイヤ電線で補助翼などに伝える方式)を採用した600(一三二席、二七九〇キロ)、700(一四九席、二九四〇キロ)、-800(一八九席、三五七〇キロ)が中心になっている。

大量輸送時代をひらいたボーイング747

米軍の戦略輸送機として計画されたが、コンペでロッキードに敗れたため、旅客機に変更して成功した。当初は、それまでの旅客機の四機分(旅客を三六〇人乗せた上に貨物を四〇トン積める)というあまりの大きさを持てあまし、一部の路線にしか使われないものと考えられていたが、大量輸送時代を拓いた。

対抗機もないことから当初の予想をくつがえしてロングセラーとなった。意外に思われるのは、ジャンボな図体ながら、速度が速い(マッハ〇・八五-〇・八六)ことだ。ちなみに面白いことに、「ジャンボ」の意味には「のろま」などマイナスイメージもあり、当の米国では愛称として使われていない。

超大型機の実現によって、ゆったりした客室、安い運賃が実現。基本型の100、飛行距離が短く離着陸の頻度の高い日本の国内線用に座席数を増やし脚部などを強化したSR型、エンジンを増強して長距離を飛べるようにした200、二階席を延長して収容人数を増やした1300(国内線用オールエコノミークラス仕様で五六三席)、新技術を使用し客室と操縦室などを含めて全体の設計をI新した-400(国際線用三クラス仕様で四三〇席、国内線用仕様で最大五六八席)がある。二階席は人数が少なく、静かでよい。

400は機体の設計を刷新し、最新の電子航空技術を取り入れてパイロット二名で操縦できるなど、経済性・安全性が向上しているほか、ウイングレット(主翼先端の小翼)の採用(国内線用の機体にはない)などで空気抵抗が減り、満員の乗客と貨物を満載して、東京-ニューヨーク間などの長距離ノンストップ飛行が可能になった(航続距離一万二三〇〇キロ)。機内も空間が広くなり、頭上の荷物棚の収納スペースが大幅に増えたことから、長距離便でもほとんどの乗客の手荷物を収納できる。